インターン生が考える 日本らしさって何?

    卒業論文で草間彌生を調べていたところ、彼女の本に興味深いことが書かれていたので、そのことについて書かせていただきます。



 「日本は伝統の良さを失って、醜く近代化してしまった。」(『水玉の履歴書』2013年、草間彌生、118頁)16年間をアメリカで過ごした草間の言葉です。「日本っていい国だよね」アメリカに留学していた際に、各国の友人からよく言われた言葉です。確かにいい国だと思います。島国という小さい国は、海の向こうの国との交流を経て、独自の発展をして今があると思います。決して悪いとは思いませんが、帰国をしてこの本を読んでいた際にふと「本当にそうか?」と違和感を感じました。

 「無個性な人々が、郊外にどれも似たような団地の建物の中に消えていく。そして部屋では、テレビからいつも同じようなコマーシャルが流れている。彼らの生活様式から物事の考え方まで、すべてが画一化しているようでした。」(上記同様、119頁)ここの文章を読んでいる際、その違和感が何かわかりました。アメリカから帰国して、電車から日本の町並みを見ている際「日本に帰ってきたな」と感じました。それと同時に「なんかつまらない景色だな」とも思いました。近所を歩いてみても、和式なのか洋式なのかよくわからない建物が建ち並び、また空き地が開拓されて同じような家が建築されてゆく...そんな街の風景をよく目にしました。

 「日本の良さって、こういうのか?」「日本の町並みってこういうのだっけ?」海外に行ったことで、今まで目につかなかったものが、目につくようになりました。アメリカはアメリカっぽい家が建ち並び、TVの中で見るヨーロッパなどもその土地特有の家々が立ち並んでいます。それに比べ日本は伝統的な家はほとんど目にすることがなくなり、快適性や量産性ばかりを意識して選んでしまっていたのだと、今になってわかりました。

 今の日本は上記で挙げた「日本は伝統の良さを失って、醜く近代化してしまった。」という言葉に集約されているように感じます。デジタルの波が強い現代だからこそ、若い世代が伝統的なものに目を向けることが大事だと思いました。些細なことですが、版画や年賀状などをこれからも続けていこうと思います。


2021/1/14  加藤亜門

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