一般的にイノベーションとは、それまでになかった技術や仕組みを打ち出すことで、既存の仕組みやあり方を生み出すことを指します。今回の記事では、インターン生・瀧本の考えるイノベーションを起こす方法を、大きく2つに分けてご紹介します。
ひとつめは、新しいシーズを生み出すことです。
シーズとは、企業の持つ、従来の市場には存在しない新しい技術やアイデアのことを指すマーケティング用語です。つまり、新しいシーズを生み出すことは、今まで存在すらしなかったものを生み出すことを指します。
この新しいシーズを生み出した例として、日本ではCASIOのQV-10が挙げられます。QV-10とは、1995年に発売された、世界初の液晶モニターを搭載したデジタルカメラです。それまでのカメラでは、撮ってすぐに写真を確認することができませんでした。また、フィルムは限られており、今のように好きなだけ写真を撮り、後に消去するということができませんでした。当時はそれが当たり前の世の中でした。それが、撮った写真がすぐ見られて、要らないものはその場で消去、フィルムも気にする必要がなくなったことで、写真を取り巻くカルチャーそのものが大きく変化しました。QV-10は、周囲の人と、その場で撮れた写真について話すことも可能にするコミュニケーションツールとしても、活躍しました。
このように、潜在的に不便だと思っていたことを、誰も今まで発想しなかった全く新しい形で解決するイノベーションが、新しいシーズを生み出すことです。
ふたつめのイノベーションを起こす方法は、ニーズに合ったものをソリューションとして生み出すことです。これは、発想そのものが全く新しいものではないため、上記の「新しいシーズを生み出すこと」よりかは難しくないと思います。
ここでよく勘違いされるのが、上記のシーズとニーズの違いです。ニーズとはマーケティング用語で、顧客が具体的に求めている物事、つまり需要を指します。 ニーズの場合、消費者が欲しいと思っているもの、求めているものは、既に顕在化しています。つまり、シーズは潜在的、ニーズは顕在的なものです。
1965年に導入が開始された、JRグループのみどりの窓口が良い例でしょう。みどりの窓口とは、駅構内で駅員がコンピュータを操作し、目的地までの切符の発券や予約を行う場所です。みどりの窓口の導入が開始されるまで、指定券はすべて台帳管理によって、手書きで発行されていました。駅員にとっては、時間がかかるとともに、膨大な書類を管理する、負担の大きい作業でした。また乗客は、たった1枚の切符を購入するために長時間並ばなければならなりませんでした。しかし、一括管理のコンピュータシステムを用いたみどりの窓口の導入によって、駅員の作業時間は短縮化され、作業効率も向上しました。また、オーバーブッキングや誤精算などのミスは格段に減少し、乗客からクレームを言われることもなくなりました。乗客は、今まで切符を購入するのに使っていた時間で、駅弁やお土産をじっくりと選ぶことができるようになりました。
このように、顕在化・言語化された需要を満たすイノベーションが、ニーズに合ったものをソリューションとして生み出すことです。
ここまで、イノベーションを起こす方法を2つ、例を挙げてご紹介しました。次回「インターン生が考える、イノベーションを起こす方法②」では、私の考える、日本が抱えるイノベーションの問題点を紹介します。
執筆者:瀧本怜佳
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