インターン生の議論 | コロナ恐慌でも消費減税しない理由 | 消費増税の嘘と真実

 今回、コロナショックの状況の中、消費税について勉強しました。私なりの意見を書かせていただきます。間違った理解をしているところもあるかと思います。そのような箇所があれば、是非、指摘してください。

 まず、消費税に関心を持ったきっかけの一つは、コロナショックです。コロナウイルスの感染拡大による経済への影響は、長期化する見込みです。その対策の一つとして、長期的な視点で、経済回復のきっかけとなる、「消費税ゼロ」を求める声明がなされています。この声明を出したのは、自民党若手議員の方々です。しかし、政府は、その意見には否定的であり、むしろ、消費増税をすべきだという声まであります。ここで、私が疑問に思ったことは、長期的に考えても景気の好転が期待できる、「消費税ゼロまたは消費減税」を、経済対策に盛り込まないのはなぜだろう、ということです。

「消費税増税による負担」の写真

 もう一つのきっかけとしては、消費税は、普通の大学生である私にとって、最も身近な税金であるということです。何かを購入する度に、必ず取られてしまうお金です。日本では、2019年10月に、消費税が8%から10%に引き上げられました。歴史を振り返ってみると、1989年に3%、1997年に5%、2014年に8%、2019年に10%の増税がなされています。消費税は弱者、つまり低所得層や年金生活者ほど、負担がかかる税金です。そのため、増税が謳われる度、人々は反対してきました。現在、私は学生なので、消費税が身近な税金です。しかし、将来的に考えると、所得税や保険、年金や自動車関連など、身近な税金は増加し、負担も増えていくでしょう。

 まず、結論としましては、増税やコロナショックをきっかけに、消費税について自分なりに考えたことで、経済により興味を持てたこと、また、不透明な仕組みや政府を作る理由、国民に対する情報操作という事実を理解し、より多くの人がそれを知るべきだと思いました。

消費増税の嘘

そもそも、政府が消費増税をする理由は、「国の借金を返すため」です。数年前、日本の借金が、1000兆円を超えたことが話題になりました。「日本は、借金大国であり、このまま借金を続けると、30年後には財政破綻で国が潰れる」と政治家は言います。それを聞いた庶民の多くは、「それなら、増税は必要なのかもしれない」と思うでしょう。

 しかし、この理由は嘘でした。日本は、借金をしていても、財政破綻で国が倒れることはないようです。なぜなら、日本は、自国通貨の円で借金をしており、日本円をいくらでも刷れるからです。一方で、ギリシャのような、通貨を自国で刷れない国は、借金による財政破綻の可能性があります。使用するのはユーロだが、自分たちではユーロを刷れないためです。つまり、財政破綻したギリシャと、日本は同じようには語れないということです。

 これは、以前に、財務省が自ら指摘しているという証拠もあります。2002年、世界の3大格付け会社より、デフレ経済下の大幅な財政赤字を指摘され、日本の国債格付けの引き下げを受けた際のことです。財務省は、それに対しての意見書をホームページに公開しており、「日米などの自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と述べています。円で借金しても、円を発行する能力を持っており、借金返済が不可能な状態にはならないと明言しています。つまり、「国の借金を税金で返す」は嘘であるということです。

 また、お金を刷りすぎることによる、ハイパーインフレの懸念についても、財務省の意見書に、こう述べられています。インフレが2%になったら引き締めるという、お金を刷る上限を決めているため、「ハイパーインフレの懸念はゼロに等しい」ということです。

MMT (Modern Monetary Theory)

 このような、国債が膨張しているのに財政破綻しない日本が、MMTの正しさを示しているという主張があります。MMTの理論とは、「自国通貨を発行する政府は、市場の供給能力を上限に、貨幣供給をして需要を拡大することができる」というものです。つまり、自前の通貨を持つ国が、いくら自国通貨建てで国債を発行しても、債務不履行(デフォルト)には陥らない、すなわち、赤字が増えても財政破綻しないので、財政赤字の拡大を容認し、政府は、財政赤字ではなく市場の供給能力を上限に、景気対策に専念すべきだ、とMMTは主張します。

借金一人900万円は嘘

 借金大国の日本は、世界一の対外純資産の保有国でもありますが、これを知る人は多くはないと思います。政府が、借金ばかりを国民にアピールすることは、消費増税を成功させるためであったと思われても、仕方ないように思われます。

 そもそも、国債の45%は、政府の内部機関ともいえる、日銀から借りています。家庭内のやりくりとも比喩される、日銀からの借り入れは、対外的には無関係であるため、借金には計上されません。つまり、半分は借金ではないということです。

 残り半分は、国内の金融機関から借りています。その金融機関に、お金を預けているのは、国民です。つまり、国民が、政府に貸しているということなので、「借金を国民全員に振り分けたら、一人900万円」というのは矛盾しています。国民に消費増税を納得させるための、嘘のアピールであったことが明らかです。

 また、消費増税の目的の一つである、医療や年金といった社会保証への使い道に関しては、自民党は2割しか使っていなかったことが明らかになっているようです。また、消費税導入以前と比べてみても、それらの負担額は明らかに増加しています。

ではなぜ、消費増税?

 消費増税の理由である「国の借金返済」が嘘であることが分かりました。では、一体何のために、消費増税が4回も行われたのでしょうか。消費税を上げた分、引き下げられている税金があります。それは、法人税です。色々な考えや意見があるとは思いますが、私がこの事実から考えたことは、つまり、一部の巨大企業や高額所得者に対しては、減税という優遇的な税制が取られ、一方で、消費税引き上げにより、国民の負担を増やし、消費意欲をも抑制しているのではないか、ということです。

 そもそも、税金の本来の役割としては、累進課税による格差解消や、景気過熱の沈静化です。税金で財政の全てを賄うという考え自体が、本来とはズレているように思います。貧困層ほどダメージを受ける消費税は、格差社会を拡大する要因の一つです。貧困の原因は、消費税だけでなく、様々な要因があると思います。ただ、低所得者ほど、消費に割かれる年収の割合は高いため、負担は大きくなります。「金持ちの負担を大きく、貧困者の負担を少なく」という、税金の常識と逆行するのが消費税のように思います。

コロナショックでも消費減税しない理由

これらの背景から考えると、仮に、減税したことで、消費が拡大し、景気好転すれば、今まで、社会保障や財政破綻を理由に、増税していた嘘が国民にバレてしまうなど、これまで財務省が行ってきた説明が、全て否定されてしまうことが理由の一つだと思います。

 自民党の若手議員グループが、コロナの経済対策の一つとして、消費減税を盛り込むことを、政府へ訴えていますが、政府は、否定的な考えを示しています。もし、消費減税が実現すれば、消費縮小傾向の日本のデフレ下で、消費を拡大させ、景気好転に影響すると思います。しかし、現状としては、多くの国民の望みとは反対に、一部の政府関係者たちの意見により、決定がなされようとしています。

 一部の人のみが得をするよう仕組まれた、不透明で複雑な日本の制度を止めるには、今までの体制を変える考えを持つ若い政治家が必要だと思います。最近では、YouTubeの存在により、今までテレビや新聞では語られなかった事実などを、個人が発信できるようになりました。そのため、そのような若い政治家や、経済の専門家は真実を伝え、より多くの人が、メディアが伝えない事実を知ることができます。しかし、利権などが絡まった仕組みや選挙があり、それが変わらない限りは、今のような一部の関係者のみが得をし、国民を騙し続けるというような構造が続いていくのではないかと思います。また、テレビや新聞の情報操作によって作り出されてしまう、思考停止のような洗脳状態に、多くの日本人が陥っているように思います。身の回りを見てみると、消費増税、上がらない給料、非正規雇用拡大、勉強しない大学生など、不思議なことが多くありますが、思考停止状態では、興味や疑問を持つことさえできません。私自身も、インターンシップに参加させていただき、考えることの重要性を再認識しました。これからの、個人が重要になっていく時代において、今までの、受身的な教育により作り出されてしまった習慣を抜け出し、自分で考え、力を付けていくために、日々変化しようとすることが、大切だと感じています。引き続き、世の中の動きにも疑問を持ち、考えていきたいです。

井上芽衣

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