前回の「最先端のフードテック(Food-Tech)とは?」の第二弾です。
まだ、日本では認知度が低いために、フードテックについての詳しい情報が、日本語ではほとんどヒットしません。今回はフードテックの最先端である、アメリカの情報を参考に、フードテックの定義を理解しながら、「フードテック」をわかりやすく整理したいと思います。
アメリカのサイトによると、フードテックは、6つのカテゴリー別に定義されていることがわかりました。翻訳は完全なものではなく、私の文脈の解釈によるものが、多く含まれていると思いますので、ご了承ください。
未来の食品
現在使用されているものを、より持続可能で健康的な代替品に置き換える取り組みをしています。
代替食品
従来の食事を、液体やパウダーといった形で、栄養価の高い代替品に置き換え、食事を改革します。
包装
よりスマートで持続可能な、食品や飲料のパッケージを開発します。
製品イノベーション
チョコレートや離乳食といった、すでに確立されている食材や市場に取り組みます。イノベーションの観点としては、製品自体・その構成の透明性・流通手段・製品のより大きなカスタマイズのいずれかです。
飲み物
新しい食材や健康的なライフスタイルを促進するために、新しい形の飲み物に取り組みます。
家電や調理器具
新世代の家電や調理器具の開発により、より多くの技術、新しい流通経路、またはより多くの個人化を提供します。
調理とテクノロジーを融合することで、効率化のみならず、料理の幅を広げたり、より健康的な調理が可能になります。日本でも「スマートキッチン」と呼ばれています。
予約プラットフォーム
通常割引付きで、レストランのテーブルを予約するサービスです。売れ残りの食品、高級レストランというように焦点を当てて、専門化も可能です。
食品サービス管理
レストラン管理の改善に取り組みます。オンラインプレゼンス、現金管理、マーケティング、顧客フィードバック、受注、在庫管理、トレーサビリティ、レシピなどを支援します。
ケータリング
誰でも地元のシェフのサービスを利用して、好みや予算に応じてディナーやカクテルパーティーを開催できるスタートアップ。
支払いサービス(ePOS)
レストランのPOSを管理するサービス。通常、それに接続されている他のサービスのハブとして機能します。
調理ロボット
3Dプリンター、自動化された売店、バーテンダーロボットといった、ヒューマンタスクを支援または代替する調理ロボットを開発します。
クラウドキッチン
キッチンを管理し、それらを仮想レストランなどの他の会社にレンタルして、配達業務を運営します。
流通に関しては、非効率な運搬や鮮度維持などの問題があります。ICTの活用により、無駄を省き、効率性を高める取り組みがなされています。
サプライチェーンのデータ
データ管理を改善するためのツールを使用して、食品サプライチェーンの問題に取り組みます。
ロイヤリティ
消費者の行動に関する、より多くの店内データを食品企業に提供し、ブランドとその顧客との間の絆を(再)構築する取り組みをします。
自動販売機
食料品、食事、スナックを提供する新世代の自動機械の開発をします。
今回は、フードテックの最先端が集まるアメリカで、それらはどのように定義されているのかを、自分なりに調べ、考えてみました。フードテックは、今後どんどん成長する領域です。そのため、日本語で調べると、情報量もそれほど多くない印象を受けました。現在、認知度が高いとは言えないフードテックでも、英語で調べることで、その情報量は何倍にも増えます。新たな技術を開発する、ベンチャー企業が集まるアメリカでの言語は、英語です。そのような最新の情報に興味を持ち、調べていきたいと思いました。
フードテックは多くの投資家を呼び込み、世界中で、スタートアップ企業を中心に、新たな製品やサービスが開発されています。生産から調理まで、あらゆる領域で「食」とテクノロジーの融合が行われており、フードテックの領域はさらに活性化していきそうです。「食」は人が食べる限りなくならず、ビジネスチャンスも広いと思います。例えば、日本だと、高齢者や単身者向けのサービス、防災や災害向けのサービスといった需要が今後増加すると思います。これから、多くの企業がフードテックに関わっていく可能性がありそうです。
まだ、日本では認知度が低いために、フードテックについての詳しい情報が、日本語ではほとんどヒットしません。今回はフードテックの最先端である、アメリカの情報を参考に、フードテックの定義を理解しながら、「フードテック」をわかりやすく整理したいと思います。
アメリカのサイトによると、フードテックは、6つのカテゴリー別に定義されていることがわかりました。翻訳は完全なものではなく、私の文脈の解釈によるものが、多く含まれていると思いますので、ご了承ください。
フードテックの6つのカテゴリー
フードテックには、6つのカテゴリーがあります。
- AgTech
- Food Science
- Food Service
- Coaching
- Delivery
- Retail
1. AgTech
1つ目のカテゴリー、AgTechの定義とは、「ドローンや農場管理ソフトといった技術を通して、農業生産量や品質を改善する解決策を考え出す新システム」です。
AgTechは、農家、酪農、流通の課題を解決するシステムとして、期待されています。日本では、農業従事者の減少や、高齢化が問題となっています。AgTechにより、省力化や無人化することで作業効率を高め、人手不足を解消できるでしょう。また、AIによる精密化で、品質の向上も可能です。農業のみならず、水産業や牧畜業でも取り組まれています。
農場管理ソフトウェア
農場の全てのタスクを管理、整理、最適化することで、農家を支援することができます。
ドローンとロボット
データを収集したり、人間が行なっていた単純作業を、ロボットへと置き換えるために使用されます。
都市および新規ファーム
生産と消費の間の距離を縮める、都市農場の開発や、収穫量、品質、持続可能性の向上のための新世代農場を開発します。
農業市場
種から機材までといった、農家向けの製品を取り扱う、BtoBのeコマース市場です。
農業バイオテクノロジー
農業や食物のための生命システムに、焦点を当てた研究開発です。
AgTechは、農家、酪農、流通の課題を解決するシステムとして、期待されています。日本では、農業従事者の減少や、高齢化が問題となっています。AgTechにより、省力化や無人化することで作業効率を高め、人手不足を解消できるでしょう。また、AIによる精密化で、品質の向上も可能です。農業のみならず、水産業や牧畜業でも取り組まれています。
AgTechでできること
- 農業生産量の改善
- 品質向上
- 新しい農業用製品の開発
- 次世代農場の開発
- 都市農場の開発
スタートアップが取り組む技術とその説明
- 農場管理ソフトウェア
- ドローンとロボット
- 都市および新規ファーム
- 農業市場
- 農業バイオテクノロジー
農場管理ソフトウェア
農場の全てのタスクを管理、整理、最適化することで、農家を支援することができます。
ドローンとロボット
データを収集したり、人間が行なっていた単純作業を、ロボットへと置き換えるために使用されます。
都市および新規ファーム
生産と消費の間の距離を縮める、都市農場の開発や、収穫量、品質、持続可能性の向上のための新世代農場を開発します。
農業市場
種から機材までといった、農家向けの製品を取り扱う、BtoBのeコマース市場です。
農業バイオテクノロジー
農業や食物のための生命システムに、焦点を当てた研究開発です。
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いろは
農業は、ドローンと非常に相性が良いと言われます。いろはの農業用ドローンでは、広い農地を上空から撮影し、葉の色をAI解析することで、収穫の予測や、ピンポイントでの除草剤散布が可能になります。
XAIRCRAFT
完全自動航行と完全自動農薬散布が可能な、中国最大手の農業用ドローンです。障害物を避ける機能にはAIが搭載され、作業員は、操縦技術を身に着ける必要はありません。
inaho
自動で作物を収穫する農業用ロボットです。収穫に最適な作物を画像認識で判断し、ロボットアームで自動収穫を行います。2. Food Science
2つ目のカテゴリー、Food Scienceの定義とは「より多くの透明性、健康、環境への懸念の必要性に答える、新しい食品を開発する新システム」です。
フードテックの中でも、特に注目されているのがこの領域です。植物性の素材を利用した、動物性の肉の代替となる食品や、栄養が一つの食品に完全に補われた完全食を作ることが可能です。
Food Scienceでできること
- 将来的な世界の人口増加による食料不足への対処
- ビーガンや宗教上の理由で特定の食物を食べられない人への対応
- 食事の効率化
スタートアップが取り組む技術とその説明
- 未来の食品
- 代替食品
- 包装
- 製品イノベーション
- 飲み物
- 家電や調理器具
未来の食品
現在使用されているものを、より持続可能で健康的な代替品に置き換える取り組みをしています。
代替食品
従来の食事を、液体やパウダーといった形で、栄養価の高い代替品に置き換え、食事を改革します。
包装
よりスマートで持続可能な、食品や飲料のパッケージを開発します。
製品イノベーション
チョコレートや離乳食といった、すでに確立されている食材や市場に取り組みます。イノベーションの観点としては、製品自体・その構成の透明性・流通手段・製品のより大きなカスタマイズのいずれかです。
飲み物
新しい食材や健康的なライフスタイルを促進するために、新しい形の飲み物に取り組みます。
家電や調理器具
新世代の家電や調理器具の開発により、より多くの技術、新しい流通経路、またはより多くの個人化を提供します。
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Beyond Meat
植物由来の素材で作った「代替肉(人工肉)」をスーパーマーケットなどでも販売するアメリカの企業です。2019年、代替肉企業で世界初の上場(NASDAQ)を果たし、日本上陸も噂されています。
Impossible Foods
植物由来の植物由来の素材で作った「代替肉(人工肉)」をレストランなどに提供するアメリカの企業です。肉を分子レベルに分解する研究により、肉の風味と色を与える「ヘム」という化合物を開発しました。
Hargol FoodTech
バッタからプロテインパウダーを作る、イスラエルのスタートアップ企業です。昆虫食は、栄養豊富なだけでなく、畜産などよりも低コストで飼育可能なため、未来の食料として期待されています。
BASE FOOD
必要な全ての栄養を理想的に補える「完全食」の開発・販売を手がける日本の企業です。BASE FOODでは、調理する時間がない人や健康維持に関心のある人に向けて、完全栄養食のパスタやパンを提供しています。
3. Food Service
3つ目のカテゴリー、Food Serviceの定義とは「レストランや施設のケータリング(仕出し)の管理を改善し、仕出しや新しい体験のために、顧客や企業を地元のシェフに直接つなげる取り組みを行う、レストラン業界を再発明する新システム」です。調理とテクノロジーを融合することで、効率化のみならず、料理の幅を広げたり、より健康的な調理が可能になります。日本でも「スマートキッチン」と呼ばれています。
Food Serviceでできること
- 飲食業界の慢性的な人手不足の解消
- 調理や仕出しの効率化、無人化
- AIによる新たなレシピの広がり
スタートアップが取り組む技術とその説明
- 予約プラットフォーム
- 食品サービス管理
- ケータリング
- 支払いサービス(ePOS)
- 調理ロボット
- クラウドキッチン
予約プラットフォーム
通常割引付きで、レストランのテーブルを予約するサービスです。売れ残りの食品、高級レストランというように焦点を当てて、専門化も可能です。
食品サービス管理
レストラン管理の改善に取り組みます。オンラインプレゼンス、現金管理、マーケティング、顧客フィードバック、受注、在庫管理、トレーサビリティ、レシピなどを支援します。
ケータリング
誰でも地元のシェフのサービスを利用して、好みや予算に応じてディナーやカクテルパーティーを開催できるスタートアップ。
支払いサービス(ePOS)
レストランのPOSを管理するサービス。通常、それに接続されている他のサービスのハブとして機能します。
調理ロボット
3Dプリンター、自動化された売店、バーテンダーロボットといった、ヒューマンタスクを支援または代替する調理ロボットを開発します。
クラウドキッチン
キッチンを管理し、それらを仮想レストランなどの他の会社にレンタルして、配達業務を運営します。
注目企業を発見!
コネクテッドロボティクス
調理ロボットシステムを開発する、日本の企業です。多数の飲食店で取り入れられ始めており、人手不足の解決や効率化に貢献しています。クックパッド
レシピ投稿・検索サービスのクックパッドは、スマートキッチンの分野でも代表的な企業です。「OiCy」というサービスは、レシピと機器を連動させることで、料理の幅をさらに広げるスマートキッチンです。
4.Coaching
4つ目のカテゴリー、Coachingの定義とは「最終顧客を対象とし、個人の目標を達成するために、食品の購入や摂取量のより良い把握へ役立つサービスを開発する新システム」です。
Coachingでできること
- データ連携による食の個人化で、健康への意識向上
- 新たなレシピ発見や食への関心改善
スタートアップが取り組む技術とその説明
- 栄養素学
- 勧告
- レシピ
- 透明性
- 食体験
栄養素学
ゲノムまたは微生物叢ベースのテストに取り組み、各顧客の個別の栄養ニーズを確立します。
推奨
専門家からの手動の推奨、または人工知能に基づくアルゴリズムからの推奨を使用し、それぞれの顧客の期待に基づいて、食事、レシピ、買い物リスト、またはワインの推奨事項を示します。
レシピ
インタラクティブゲームや中毒性のあるビデオなどの新しいフォーマットで、レシピを再発明する取り組みをしています。
透明性
消費者が食品の品質情報にアクセスできるような取り組みします。誰もが簡単にアクセスでき、異なるサービス間で交換できる、標準化されたコンテンツを作成することを目指しています。
食体験
醸造所やブドウ園といった、食品関連の関心のある場所での観光体験を作成したり、料理教室へのアクセスを再発明したりしています。
注目企業を発見!
米国のスタートアップ「innit(イニット)」は、好みやアレルギーを考慮したレシピの提案から、食材をスーパーのサイトから取り寄せたり、IoT家電と連携させた実際の調理まで、スマホ一つで完結させることが可能なサービスです。
Habit
米国の「Habit(ハビット)」は、遺伝子・血液の検査結果や、基礎代謝の解析に基づいた、健康状態に合うレシピを提案するサービスです。
5. Delivery
5つ目のカテゴリー、Deliveryの定義とは「食料品やレストランの食事、自分のキッチンで調理された食事などの宅配における、食品業界の配達の課題に答える新システム」です。
「外食」とは、レストランなど家庭外で調理された料理を、家庭外で食べることです。「中食」とは、家庭外で調理された料理を、家庭内で食べることです。
長期的な不景気による外食需要の減少は、調理済みの料理を自宅に持ち帰る「中食」の増加に影響を与えています。
「外食」では、省人化や無人化により、飲食業界の人手不足を解消する取り組みがなされています。
Deliveryでできること
- 飲食業界の慢性的な人手不足の解消
- AIの精密化によるオーダーミスなどの解消
- 中食の促進と多様化
スタートアップが取り組む技術とその説明
- 食事キット
- 市場
- 発見ボックス
- レストランの配達
- 仮想レストラン
- 配送ロボット
食事キット
食事を作るための材料を、家庭に合わせた量に調整して、定期的に顧客に届けます。
市場
「農家から家庭へ」のソリューションや、店舗への配送といった、食品のeコマースプラットフォームを開発します。
発見ボックス
毎月、専門家が選択した商品を受け取れる配送サービスです。 世界中のワイン、紅茶、コーヒー、エキゾチックな新製品が、最も人気のあるテーマの1つです。
レストランの配達
個人運転手を通じて、顧客が近くのレストランから調理された食事を受け取れるサービスに取り組みます。
仮想レストラン
自社またはレンタルのクラウドキッチンを運営し、独自のブランドセットを開発します。
配送ロボット
食料配達ドローンやロボットを開発します。
注目企業を発見!
UberEats
ライドシェアサービスのUberが提供する、デリバリーサービスです。サービスに登録する一般人が配達員として、登録飲食店のメニューを届けてくれます。シェアリングエコノミーでも注目されています。
POTLUCK
月額定額制で提携レストランのメニューを受け取れるサービスを提供する、日本のスタートアップ企業です。
O:der
店舗における注文、支払いなどの無人化や精密化により、オーダーミスや人手不足の解消が可能です。このO:derというプラットフォームを手がけるのは、日本のスタートアップ企業Showcase Gigです。
Brightloom(元eatsa)
アメリカのサンフランシスコにある無人レストランです。タブレットから注文し、ロボットが調理します。商品は、ロッカーのような場所から、持ち帰れる形で提供されます。
6. Retail
6つ目のカテゴリー、Retailの定義とは「サプライチェーンのデジタル化から、店内での買い物客の体験向上まで、食品小売業界向けのソリューション新システム」です。流通に関しては、非効率な運搬や鮮度維持などの問題があります。ICTの活用により、無駄を省き、効率性を高める取り組みがなされています。
Retailでできること
- 鮮度維持の向上によるフードロスの解消
- 中間業者の省略による、より低コストでの商品提供
スタートアップが取り組む技術とその説明
- サプライチェーンのデータ
- ロイヤリティ
- 自動販売機
サプライチェーンのデータ
データ管理を改善するためのツールを使用して、食品サプライチェーンの問題に取り組みます。
ロイヤリティ
消費者の行動に関する、より多くの店内データを食品企業に提供し、ブランドとその顧客との間の絆を(再)構築する取り組みをします。
自動販売機
食料品、食事、スナックを提供する新世代の自動機械の開発をします。
注目企業を発見!
八面六臂
DAY BREAK
特殊冷凍テクノロジーにより、年間約100万トン出ると言われているフルーツのフードロスをなくすサービスを提供する、フードテック企業です。
「食」の未来を変えるフードテック
- AgTech
- Food Science
- Food Service
- Coaching
- Delivery
- Retail
フードテックは多くの投資家を呼び込み、世界中で、スタートアップ企業を中心に、新たな製品やサービスが開発されています。生産から調理まで、あらゆる領域で「食」とテクノロジーの融合が行われており、フードテックの領域はさらに活性化していきそうです。「食」は人が食べる限りなくならず、ビジネスチャンスも広いと思います。例えば、日本だと、高齢者や単身者向けのサービス、防災や災害向けのサービスといった需要が今後増加すると思います。これから、多くの企業がフードテックに関わっていく可能性がありそうです。
井上芽衣
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