アメリカでのファーマーズマーケットの起源は、10数人の農家の人々が、元酪農場だった空き地にトラックを駐車し、新鮮な農産物を販売した1934年とされています。
20世紀に2,000以下だったその数は、2019年現在8,765まで増加しました。
先日訪れたのは、最も歴史あるThe Original Farmers Marketです。
今では、観光地化しているこのファーマーズマーケットですが、地元生産者の顔が見える・対話ができるという直接供給のスタイルは続いています。
果物・野菜を売っていた店です。
通りかかると、訪れた人と店の方が商品について話をしていました。ファーマーズマーケットでは、生産者自身が直接販売をするというルールがあるため、店員=生産者です。
これによって、通常の販売・購入における、もの・お金の動きだけでなく、生産者と消費者が、お互いを理解するという経験が加わります。
米農務省の調査によると、ファーマーズマーケットで販売する生産者の半数以上は、そのマーケットから10マイル以内の距離で生産をしているそうです。販売までの道のりが最短であるため、新鮮さ・栄養においてピークの状態のものを届けることができます。
小売店の場合、農産物が店に届くまでに1,200マイル以上の道のりが必要とされているようです。
価格に関しても、ほとんどのファーマーズマーケットの商品は、小売店と比較して平均22%安くなっているというデータがありました。
ファーマーズマーケットの利点として、小売店にはない魅力、地域経済の支援、輸送による環境汚染の解決など、多くのものが考えられます。しかし、それに加えて、季節・土地に合った農産物を最短距離で届ける、対話を重視して販売する、というファーマーズマーケットのシンプルな心地よさがアメリカ人に愛され続けているように思います。
ファーマーズマーケットに限らず、余計な手を加えることなくシンプルに暮らす、ということが、アメリカ人の幸せにつながっているのでは、と感じることが多い日々です。
2019/08/14 原唯奈
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