日米トヨタホームページにみる狙いと消費者の価値観

 日本商品のアメリカ市場用のラベルについて調べ、比較分析する業務をさせていただいています。その中で、トヨタのホームページは日本とアメリカでかなり違いがあるため、ラベルの分析と合わせて、こちらも検証してみるべきと教えていただきました。

 こちらが日本のトヨタのホームページです。


 車の会社ですから、もちろん大きく車の写真が出てきます。車の購入を検討している消費者には、何の違和感もないでしょう。

 一方、こちらはアメリカのトヨタのホームページ。


 トップに映し出されるのは、車ではなくロボットです。日本のものを見た後でこのサイトを開いたときは、少し違和感を感じました。どんな車の画像が出てくるか、と期待しながらクリックしたからです。「WE'RE MORE THAN GREAT CARS AND TRUCKS」というメッセージから、車自体をアピールしているわけではない、という考え方が既に伝わってきます。

 その後も、違いは明らかでした。とにかく消費者にトヨタの車を見てほしい、と日本のホームページが車をアピールする一方、


 自分たちのストーリー、トヨタのノウハウがいかに社会と環境に貢献しているか、人々を幸せにしているか、を訴え続けるアメリカのホームページ。



 それぞれのホームページの一番下にたどり着くと、やっとお互いのアピールしていた情報が入れ替わりました。



 ホームページは、一般に向けて情報を発信する場であって、消費者の価値観に合った情報提供が求められます。二つを比較すると、車を選ぶ上で消費者が重視しているポイントの違いと、それに合わせて情報を伝える工夫がはっきりと見えてきました。

 トヨタというブランドを選び、その車を探し求めている消費者のために情報提供する日本と、社会問題、環境に対する消費者の関心の高さを理解し、社会でこんな役割を担うことが可能なトヨタ、というイメージの植え付けを優先するアメリカ。

 食品のラベルもそうですが、ホームページなど、一般の人が商品の情報に接触する部分を分析すると、企業の狙いと消費者の価値観を理解することができると分かりました。企業と消費者を繋いでいる部分について考えることは、常に新しい発見があり、とても興味深いです。

2019/07/12 原唯奈


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