ユニコーン企業と日米

 業務中、アメリカや日本の企業について調査をすることが多いです。その中でも、先日触れたアメリカのアパレルブランド「Everlane」のような、新しい企業の存在を知ると、とても刺激を受けます。

 それに関連して、「ユニコーン企業」について調べるようアドバイスを頂きました。ユニコーン企業の条件は、①企業価値10億ドル以上、②起業10年以内、③非上場、④テクノロジーに関連する企業 の4つです。


 設立から年数が浅いながら評価額が高く、今後の可能性を見込まれている企業ということになります。FacebookTwitter、日本のメルカリなどもかつてはユニコーン企業でした。

アメリカのリサーチ機関「CB insight」の公表によると、20191月時点で、全世界のユニコーン企業は310社。そのうち151社はアメリカ企業ということで、シェアは全体の49%です。一方、日本から選出されたのは、人工知能分野で活躍する「プリファードネットワークス」一社のみでした。

これほどの差がある一因は、経営面での支援です。アメリカのベンチャー企業が得ている投資会社からの支援は2018年で11兆円と、日本の80倍以上でした。それに加え、シリコンバレーなどに多数存在する、エンジェル投資家による出資も、設立間もない企業を支えています。

もう一つの理由は、大企業によるベンチャー企業の買収と、その後の流れに好循環が生じていることです。日本では、ベンチャー企業のゴールが新規上場と考えられており、社内体制整備のために多大なコストと準備期間が費やされます。一方アメリカでは、新技術を求める大企業により、ベンチャー企業が次々に買収されるケースが多いです。

その結果として、資金を手に入れた起業家が次なる起業に取り組む、エンジェル投資家として他の事業を支援、新たな成功者が生まれる、それが繰り返され、次々に人材や企業が育っていく、という好循環が存在しています。

 日本でも、大企業によるベンチャー企業の買収は増加傾向にありますが、古くからの経営方法と、ベンチャー企業で働く人とのミスマッチによって、人が辞める、ベンチャーから取り込んだ光が消えていく、という結果が生じています。

 新しいもの・勢いのあるものが支援され、さらなる好循環を生み出すアメリカと、変化に慎重な日本の違いが、このような企業の数として表れていることを知りました。

2019/07/27 原唯奈

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