海外で売られている日本の商品はどのような過程を経て流通しているのか、ということに対する興味が、私がここでインターンシップをしようと考えた理由の一つでした。
日本人の心遣いが込められた商品はとても魅力がある、もっと世界に広まってほしい
日本のものが海外に渡る道をつくる仕事を近くで見てみたい、と思っていました。
しかし、実際にこちらで生活してみたり、色々なお話を伺ったりするなかで、日本のものはそこまで素晴らしいものだとも言い切れないこと、国が違えば受け入れられるものも変わってくるのが当然だ、ということに気づかされました。
そして、私たちが感じている良さを他の人、ましてや外国の人に同じように分かってもらうことはとても難しいです。
商品の持つ要素として、味、価格、大きさなどいろいろなものがありますが、私が特に興味を持っているのはパッケージデザインです。スーパーマーケットに行くと、色々な商品のパッケージを眺めて考え事をしているだけで時間が過ぎていきます。
中に入っているのは同じような商品だとしても、パッケージのデザインが違うだけで買う人の層が変わったり、人気な商品とそうでない商品ができたりするのはとても面白いです。
先日、仕事帰りに買うものがあるという日本人スタッフの方にお供させていただいて、スーパーマーケット内で色々なお話を聞かせていただきました。
多くの商品を見ましたが、私が一番興味を持ったのは、これです。
ミツカンのお酢。
おしゃれになっていて、はじめはミツカンのものだと気がつかなかったくらい、周りの商品に馴染んでいるように感じました。
日本のミツカン酢といえば、これですよね。
二つを比べると、かなり違いがあります。
日本人の私たちにとってはこのデザインが当たり前で、これを見ると「あぁお酢だな」と安心感がありますが、もしも私たちが外国人だったらどうでしょう。
なんだかよく分からないマークのついた、アジアの調味料。たとえ、お酢であることが分かったとしても、怪しさは拭いきれないと思います。
もう一度、英語パッケージのお酢を見てみます。
漢字やカタカナ、大きなトレードマークの代わりにシンプルなデザインで、「VINEGAR」である、ということが書かれています。
「米酢」の文字を完全に無くしてしまうのではなく、薄い色で残したところにも工夫を感じます。
そして、ラベルの下にあるサラダの写真はとても効果的だと感じました。あの写真があることで、「日本の調味料か…何か使い方がいまいち分からないし、違うのにしよう」 と思われるのを防ぎ、「日本の調味料だけど、こうやってサラダに使えるのか、試してみてもいいな」と、手に取ってもらうきっかけを生み出してくれると思います。
相手によって見た目を変えるだけで、その商品の伝わり方がプラスにもマイナスにもなる、すごいことだと思います。
こんなことを考えて形にしていく仕事に、少し興味が出てきました。
今日、調べ物をしようとしていたら、日本でのパッケージに関するニュースを見つけて思わず読んでしまいました。
ニュースになっていたのは、チョコフレーク。1967年に日本で初めて販売されはじめた「森永チョコフレーク」はこの夏をもって終売が決定したそうです。
その一方で、日清シスコの「チョコフレーク」はパッケージの工夫によって売上を伸ばしているということでした。具体的には、発売当初箱だったパッケージが袋に変わり、袋がチャック付きの自立するタイプへと進化していくにつれて、売上も伸びたそうです。
消費者がお菓子を食べるシーンを考え、一度にたくさん食べる場面が減っていることに注目して取り入れた工夫が、消費者のニーズとうまくマッチした結果でした。
消費者の食べ方に合わせて袋の形を変える、季節が変わればその季節に合ったデザインとともに、季節にぴったりの食べ方の提案も載せたパッケージを使う。
日本の国内だけでも、相手に合わせたパッケージデザインをするかしないかで、売れる・売れない商品に差ができるということが、とてもシビアではあるものの、おもしろいと感じます。
日本の中でもここまで考える必要があるのだから、これを海外で考えるのは、とても大変なことなのだと再認識しました。たとえいい商品でも、その見せ方次第で評価に大きく差が出る、という現象にとても興味がわいてきます。
2019/07/06 原唯奈
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