+αが必要!アメリカ人が行きたがるラーメン屋

 過去二回のアメリカラーメン屋分析では、アメリカ人を満足させるラーメンについて自分の考えを発信させていただきました。

 その後、せっかくアメリカにいるのだから、現地の人の意見を聞いてみたらいいというアドバイスをいただいて、MCICの皆さんにアメリカのラーメン屋についてお話を伺ったところ、私には無い別の視点から意見を頂いたので、第三回となる今回は、それについてお話します。

 まず、日本人である私の考えとは全く違う考えの答えが返ってきて驚いたのが、「どんな時にラーメン屋に行くか?」という質問です。
 私にとってラーメン屋は、気軽に入ってサクッと食事できる場所の一つであるので、この質問に対しては、「いつでも行く」という答えを予想していたのですが、帰ってきた答えは、
「ラーメンは好きだけど、外食してまで食べるものではないと思うし、行ったことがない。」
というまさかの意見でした。
 ラーメンは自宅で素早く作れるインスタントの印象の方が強く、自宅でも食べられるものだから、わざわざ外に出てまで食べようと思わない。ラーメン屋のラーメンははどちらかというと安価なものなので、どうせ外食するならもっと豪華なものを食べたい。というのが主な理由です。
 海外では、人によってはラーメン屋のラーメンよりもインスタントの方が馴染みがある、ということも驚きだったのですが、ラーメンが外国人の間でブームになっている!と思い込んでいた私にとって、ラーメン屋の存在はアメリカ人的にはそこまで特別なものではなく、外食する際の選択肢として魅力的にみえていいないのだと分かったことは、意外でした。

 アメリカでは、外食に特別感が求められているようです。
前回のブログでも少しふれたように、日本の料理をそのまま提供するのでは、「地味・少ない・何だかよく分からない」という印象を持たれてしまうのではないかと思います。
 ということは、ラーメン屋では、アレンジを加えたスペシャル感のあるメニューが存在するかどうかが、アメリカ人が外食先を選ぶ時の決め手になるのではないでしょうか。量的にも満足で、「こんなラーメンを食べた!」とSNSでシェアしたくなるラーメンには、ヒットの可能性があるかもしれません。

 もう一つ興味深い意見を聞けたのが、店の内装に関する質問です。

 こちらの二つの店内について、どちらのラーメン屋でラーメンを食べたいか聞いてみました。




 一つ目の店舗は日本らしさはありませんがオシャレな空間、二つ目は、日本らしさをアピールした店内です。

 質問に対して選ばれたのは、一つ目の店舗でした。
 黒板に、シンプルに分かりやすく書かれたメニューが決め手だそうです。

 ラーメン屋の店内に日本らしさを求めるか、ということを質問したかったのですが、日本らしいかどうかよりも、食事をする上で必要な情報を確実に入手できるかどうかが最優先のようです。
 ちなみに、二つ目の店舗の壁に飾られている漢字は、メニューだと勘違いされていて、「これでは何のことだか何も分からない」と言われていました。雰囲気づくりのための工夫が、外国人の混乱を生む原因になってしまうこともあるのですね。

 ラーメンはアメリカで大人気の日本食だ!とか
 アメリカの日本食レストランは、とにかく日本をアピールして、日本にいる感覚をお客さんに味わってもらうべき、と思っていましたが、自分以外の意見を聞くことで、相手のニーズを理解して、メニュー・店づくりをすることの重要性が改めて分かりました。

 ラーメン屋だけに限りませんが、日本食ブームに乗っかれば、必ず売れる!という考えは、見直す必要があるのかもしれません。+αの工夫が重要だと思います。

2019/06/29 原唯奈





コメント