インターン生の日々⑧ <原因論と目的論>

※この記事はインターン生のTomoyaが作成しています。

 皆さん、無意識のうちについ言ってしまう、悪い口癖はありますか?



 私の悪いところなのですが、自分のことを紹介するときに、「物欲が全然ない」や「食への関心が薄い」、「ファッションやオシャレに興味がない」ということを、かなり早い段階で言ってしまいます。決まり文句のように、毎回言ってしまいます。そうすると相手は、「こいつとは共通する話題が見つかりそうにないな」と感じ、なかなか興味をもってもらえず、対人関係においてかなり不利になります。ビジネスの場では、なおさらのことです。言うまでもありませんが、同じ会社内でプロジェクトを進める同僚や、取引相手の方々と、良い関係を築けなければ、仕事全体に支障が出てしまいます。実際に、先日、京都にて行われたビジネスミーティングに同席させていただいた際、Nickiさんから、この悪い口癖に対するご指摘を受けました。

 したがって、なぜ自分は毎回同じようなネガティヴな発言をしてしまうのか、自問自答しながら深く考えてみました。まず、人よりも物欲がなく、ファッションや食への関心が薄いのは、極端に知的好奇心が低いことと、とくに不自由のない現状に満足してしまっている自分の妥協癖が原因だと考えました。「知りたい」という欲求は、なにか行動を起こすときの原動力となるものであり、知的好奇心が低い私は、他の人に比べて行動範囲が狭く、興味や関心をもてる対象物自体が少ないように感じました。さらに、いつからか自分の中に根付いている妥協癖も、なにか新しいことを行動に移すのを邪魔している要因だと思いました。

 しかし、上記のことは3カ月前から何度も指摘され続けていることなので、少しでも改善しようと常に意識していますし、知らないことを見つけると迷わず調べるようになりました(情けないですが、以前は無視していました)。ちゃんと欲しいものはありますし、食べたことのない料理に対する興味が、以前よりも増していると感じます。つまり、「物欲がない」等のネガティヴ発言が、現在の自分のことを100%的確に説明できているとは思えないのです。では、人に自分のことを紹介するときに、なぜ今の自分とは矛盾するようなことを言ってしまうのでしょうか。思いついた理由は以下の2点です。

①過去に、それらのネガティヴな発言を習慣化してしまっており、今の自分には当てはまらないにも関わらず、同じような言葉を使い続けている。

 これはフロイトの原因論に沿って考えついた理由です。原因論とは、「人間の行動や感情は、過去の体験から生み出される」という考え方です。たしか中学校に入学したあたりから、欲しいものを聞かれても「とくにない」、夕食は何を食べたいか聞かれても「なんでもいい」、と答えていたのを覚えています。思い返せば、6歳上の兄がいつもお下がりの服をくれていたので、自分で服を買いたいという気持ちもほとんどもっていませんでした。そういった過去の体験や習慣の影響で、自分は今でも物欲のない人間であると強く思い込んでいるだけなのではないでしょうか。だとすると、現在ほぼ無意識に行っているネガティヴ発言が単なる思い込みであると自覚できれば、自分のことを正確に伝えられるようになるかもしれません。

②自分のことを詳しく知られたくないという目的を達成するために、無意識のうちに、自分が多くを語らなくて済むような状況を作り出そうとしている。

 一方で、これはアドラーの目的論に沿って考えついた理由です。目的論とは、「人間の行動や感情は、今もっている目的に沿って創り出される」という考え方です。この理由が頭に思い浮かんだ瞬間、かなりドキッとしました。昔から自分のことを話すのが苦手で、気付けばいつも私は聞き手にまわっています。聞き手にまわることで、自分が開示する自身の情報を制限しているのでしょう。そして、自分のことを相手に知られたくない理由は、自分の人間性や能力に自信が無く、つまらない自分を知られて嫌われるのが怖いから、といったところでしょうか。そうなると、自分のことを正確に表現するためには、ありのままの自分を受け入れて、嫌われたって構わないからとにかく「自分」を伝えようという意識をもつ必要があります。

 今回は、私がなぜ 「物欲が全然ない」 「食への関心が薄い」 「ファッションやオシャレに興味がない」等のネガティヴな言葉を、初対面の人につい言ってしまうのかについて、熟考してみました。原因論と目的論は、どちらが絶対的に正しいというものではなく、原因論に沿って生きている人にとってはそれが真実であり、目的論に沿って生きている人にとってはそれが真実なのだと思います。私は完全にアドラー派なので、②の理由のほうがより納得できます。おそらくこれまでの私は、これらのネガティヴな言葉を盾のように使うことで、距離を縮めようとしてくれている人たちが近づけないようにしていたのだと思います。しかし、人と対等に接して良い関係を築くのに、盾なんて必要ありませんし、不適切な言葉で作られた盾なんて迷わず打ち捨てるべきです。これからは、自分の言動にもっと気を配りつつ、相手に良い印象を持ってもらえるように自分のことを発信できることを目標にして、尽力していきたいと思います。

園杭智也

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