日本人からみた宗教

 ホームステイでこちらに滞在させていただいているのですが、私のホストファミリーは、とにかく家族を大切にしていらっしゃる素敵な方たちです。
 こちらは、ホストマザーの誕生日パーティーの様子。集まった家族やお友達の方が、私にもフレンドリーに接してくれました。




 今日はそんなホストファミリーが休日に連れて行ってくれた教会のミサで感じたことについてお話しようと思います。

 アメリカについて2日目の日曜日、ホストマザーに朝の挨拶をし、今日は何をする予定なのか聞くと、教会に行く予定だけど一緒に行く?と言われました。私は多くの日本人の方と同じように、特に宗教を信じておらず、神社に初詣に行ったかと思えば、クリスマスには家族と楽しくケーキを食べるような生活を今まで送ってきました。そんな私が、教会に行くのは失礼にあたったりしないんだろうか、、、と感じつつも、一度は行ってみたいという思いから行くと返事をしました。

 私のキリスト教に関する知識といえば、中学や高校の授業で少しは勉強したにも関わらず、カトリックとプロテスタント、聖書、イエス・キリスト、マリア様、、、という単語しか出てこないようなレベルです。
 そのうえミサ中に使われる英語はやはり少し専門的なのか私には難しく、周りの方の様子をみようみまねという状況でしたので、ミサの流れを全て掴むことはできませんでした。それでも、初めてのミサから私なりの視点でいくつか考えたことがあります。(「ミサ」はカトリックの方の教会で行われるものだということも、実は後々調べていて知ったことです…。)

 まず私が注目したのは、ミサでは歌を歌う場面が非常に多いということ。さっき歌を歌ったかと思うと、少しの話の後、また歌を歌う、そしてまた歌…。宗教的な場面で声を発するといえば、ほぼ一定のトーンでつぶやくように読み続けるお経しか思い当たるものがなかった私にとって、はっきりとしたメロディのある歌を教会に集まった人々が堂々と歌う様子はとても新鮮でした。そして、大人も子供もお年寄りも、みんながオルガンの音と共に一斉に歌を歌っているのを見て、なんかこういうのいいな、と私は素直にそう感じました。

 日本人にとって、人前で歌を歌うというのはどちらかというとためらいのあることだと思います。しかし、幼いころからミサに通い歌を歌い続けてきた信者の方々にとって、それはごく自然なことなのではないでしょうか。ここまで言うと言い過ぎかもしれませんが、西洋の方の快活さやフランクさはきっと、幼いころからの教会での経験によっても形成されているのだろうとだろう考えてしまうほど。私も歌うことに抵抗がない人生だったら、きっと毎日がもっと楽しいだろうなぁ、苦手なカラオケとか好きになれるんだろうなぁ、なんてことを考えながら皆さんの歌に耳を傾けました。

 それをもう一度感じたのは、ミサの終盤にある「平和の挨拶」という場面でのこと。
この光景を見た時の衝撃はかなり大きかったです。神父が話を終えると、集まった人々は前後左右全ての人の方に体を向けてにっこり微笑みながら「Peace」と声をかけたり、握手したり、ハグをしたりし始めました。え…もしかして全員友達だったのか…?と思うほどのフレンドリーさを目の当たりにして、これも日本人にはない部分だと感じました。日本人は周りの人々に対して自然と壁を作ってしまうような部分がありますが、こちらではこのようなことを通して、人と不必要な壁を作ることなくコミュニケーションする、ということへの違和感が生まれないようになっているのではないかと思います。人との距離を気にしたり、話しかけるまでに勇気を要する私にとって、このような文化があることはとてもうらやましく感じました。
 そういえば、ロサンゼルスのお店で買い物をすると、レジの店員さんが「Good morning, How are you doing?…」といった感じで軽い会話をしてくれることがあります。緊張している私にとって、それが結構嬉しかったりするのですが、このような感じで、初めて会った人とも気軽にコミュニケーションしようとする習慣にも「平和の挨拶」が影響しているとしたら興味深いです。

 宗教と深くかかわってこなかった私にとって、毎週日曜日にミサへ行くことに対する気持ちの持ちようや一つ一つの行いの意味などを理解することは難しいです。しかし、日本人としての感覚からミサでの出来事について考えることができたのではないかと思います。

 あとは、ミサに対して感じたことがもう一つ。
 それは、日曜日の教会という、みんなの集まれる場所の存在がうらやましいということです。ミサがあることで、日曜日には必然的に家族が集まるでしょうし、教会に行けば知り合いに挨拶をしたり、世間話をすることもできるでしょう。宗教的な意味からはそれてしまうかもしれませんが、日本でそういう場を持たない私にとっては、とても魅力的に感じました。

 今回は初めてのミサについて、私の視点からお話ししましたが、今後も体験したことについて柔軟に考えていきたいと思います。

2019/06/10 原唯奈

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