無知という恐怖

 無知は非常に恐ろしいです。宮崎駿は「無知」に関して、こういう言葉を残しています。
学生時代に本を読まないのは勝手だけど、そのつけは全部自分が払うんだから。知識や教養は力じゃないと思っているやつはずいぶん増えたけど、結局、無知なものはやっぱり無知ですからね。どんなに気が良くて、どんなに一生懸命でも、ものを知らないというのは自分がどこにいるか知らないことですから
 この考えは、ほとんど全ての人が持っているとは思いますが、その危険性を理解している人は少ないでしょう。私自身も完璧に理解している訳ではありませんが、身を以て経験しました。




無知に恐怖を覚えた経験

 私は、11月に仕事を辞め、独立するために準備をしていました。当時、私が住んでいた京都は紅葉シーズン。国内問わず、非常に多くの観光客が京都に訪れます。

 そんな彼らが必ずと言っていい程持っているのはキャリーケースや大きな荷物でした。観光ハイシーズンなので、京都駅周辺のロッカーは空いていないため、みんな臨時の荷物預かりやキャリーサービスにに荷物を預けるために長蛇の列を作っていました。
 それを知った私は、予約制のキャリーサービスをすれば、観光客を待たせずにスムーズに荷物を預かることができるので、需要があるのではないかと思い、準備を始めました。準備を進めているある日、弊社代表から連絡をいただき、東京出張にご一緒させていただく機会がありました。
 その際に、「国際ホテル・レストランショー」という展示会に参加させていただきました。そこで目にしたのは、自動ロボットの世界でした。受付や料理、掃除など、これまで人が当然の様にしていた仕事がまさにロボットが代わりにしていました。加えて、お食事の席などでアメリカの現状などをお伺いすると、ロサンゼルスではすでに自動運転自動車導入のために、道路を完全平らにする工事が進んでいるとのことです。
もう数年後には自動運転が当たり前になるというのです。自動化や自動運転化が日常になることはわかっておりましたが、これほど間近に迫っているとは考えておりませんでした。
 
 ここで、話を戻しましょう。私がやろうとしていたキャリーサービス。京都駅から観光客が泊まる宿泊施設まで配送するというものですが、数年後に自動運転が導入されると、一気に仕事は奪われ、路頭に迷うことになっているでしょう。直近ではもしかしたら少しは上手くいくかもしれませんが、将来性は皆無です。投資なんてものは誰からも受けられないでしょう。
 これは、私が実際に経験したもの。恐いですよね。もし、キャリーサービスに挑戦していたら、失敗という貴重な経験はできたかもしれませんが、20代という貴重な時間を使ってする経験ではない気がします。今では本当に事前に知れてよかったと思います。

どんなに気が良くて、どんなに一生懸命でも、ものを知らないというのは自分がどこにいるか知らないことですから

 冒頭で挙げた宮崎駿の言葉です。まさに、数ヶ月前の私のことです。一生懸命しておりましたが、自分がどこにいるかもわからない状態でした。今では、いい経験をしたと思っています。情報量の重要性を身を以て知ることができたからです。これからは、何をするにしても、特にビジネスに関することは、まずは情報収集を行い、自分がどういう状態なのかを把握する様に心がけます。

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