Hammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー)

今後は、MCCのBLOGで、アメリカのビジネス情報もアップしていきます。本日は、老舗の通販会社のご紹介。

164年もの歴史があり、アメリカで最も古い通販カタログを発行したHammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー)の紹介。Hammacher Schlemmer
南北戦争が始まる13年前、ニューヨークに一軒の金物屋がオープンする。19世紀前半、品質の良い工具や機械を手に入れるのがとても困難な時代、その店は良い商品を売ると店として、評判を高める。その店の前で、店主の甥、12歳のWilliam Schlemmer(ウィリアム・シュレマー )が、工具類を売りはじめ、数年後には、Alfred Hammacher(アルフレド・ハマカー)援助もあり、1867年にその金物屋を叔父から譲り受ける。

この二人の青年、Hammacher(ハマカー)とSchlemmer(シュレマー)のアイデアが互いに刺激し合い、アメリカ国内では、他に類を見ない、工具類を取り揃える店が誕生する。職人達の間では、“欲しいものが見つからない時は、Hammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー)に行け”と言われるほどに。その評判を裏付けるように、1878年にカタログが初出版され、271社しか掲載されなかった電話帳に、Hammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー)は名を連ねる。産業革命が起こる前のこの時代、熟練した職人が少なく、まだ未熟な職人達が、技を磨こうとした頃で、技術を教えるために設立されたMassachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)が、初めて講義を行った時期と重なる。巧みの技を得ようと日々精進する職人達に、最高品質の工具を、Hammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー)は提供していたのかもしれない。

そして、1881年に、今でもカタログとしては珍しい、ハードカバーの第1号通販カタログを発行。1912年には、カタログの総ページ数は1,112ページにも昇り、東海岸では、最も品揃えが充実したカタログとして、その名を欲しいままに。Hammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー)は工具類だけでなく、他分野の品物も扱う。例えば、車が馬車に取って代わろうとした時代には、Hammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー)は、タイヤのパンクに対応したキット、もしくは、ピアノの修理に必要な部品を全て取り揃えた。
 
1930年代と40年台には、Hammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー) は、発明品を扱う店の代名詞に。何故なら、名前に負けないくらい、ユニークな商品を見つけることが可能だったからだ。1930年のポップアップ・トースター、1934年の電気カミソリ、1948年のスチームアイロンはHammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー) が、世界に初めて紹介した商品のほんの一例。その後も、フードプロセッサー、コーヒーメーカー、電子レンジ、留守電、コードレス電話、と次々と世に送り出す。
今のHammacher Schlemmer (ハマカー・シュレマー) のカタログをめくると、本当にユニークなものばかり。商品も厳しい審査をパスしたベストな商品だけが、カタログに掲載され、しかも、保障は一生涯。一風変わった商品も、世界でたった一つの、最高のものを探すことにこだわった故だろう。

ニューヨークに存在する唯一の店舗は、現在改装中。次に生まれ変わった店舗が、どのようなユニークな発明品を展示するか、待ち遠しい。

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