統計から考えるアパレル産業と環境への負荷

 衣料品で人々の毎日を彩る、気持ちをも変える、そんな明るいイメージを持つアパレル産業ですが、地球環境に与えている負荷は、無視できないものです。


 石油に次いで、繊維産業は、世界最大の環境汚染要因であり、世界の温室効果ガス排出量の10%が、アパレル産業のエネルギ―集中型の生産と、原材料の生産国から販売国へとまたがる、長い供給連鎖によるものとされています。

 また、アパレル産業と切っても切れない関係にあるのが廃棄物です。
 その一つは、世界の20%を占める廃水量。実際に、20,000Lの水からコットン1㎏が生産され、コットン1㎏から1枚のTシャツとジーンズを製造するには、さらに約2,000L以上の水が必要だ、という事実があり、アパレル産業に必要な水資源の量が、その廃水量の多さに直結していると分かります。

 製造過程における繊維廃棄物も膨大な量です。
 環境保護庁によると、2013年に生産されたうち、151億トンもの量が無駄な繊維として廃棄の対象となりました。裁断くずとなってしまう衣類用の生地は約15%、香港で1日に埋め立て処理される繊維は253トンと、大量のエネルギ―と資源から製造されたにも関わらず、新品の布が使用されることなく廃棄されているのが現実です。

 アパレル業界において重要な、トレンドの存在も大量廃棄の原因といえます。


 競合他社に対抗するためには、どんなものが流行し、どれくらいの需要が生まれるのか、というトレンド予測が不可欠ですが、それによる生産では、余剰在庫をゼロに近づけることはかなり困難です。

 消費者の手に渡った製品も、トレンドが過ぎれば廃棄の対象となります。消費者が廃棄する靴や衣類は、一人当たり年間平均32㎏という量です。

 そんな衣類の処理方法として、約85%と最も一般的なのは埋め立て処理。埋め立て地を占める繊維廃棄物の割合は増加し続けていますが、埋め立て地の新設は高額で困難とされています。
 
 生産に必要なエネルギーや資源、排出されるガスとの廃棄物、廃棄に必要な土地。アパレル産業において、それら全てが膨大な規模です。
 
 全世界の人が着用する衣料品、それを作り続けるアパレル産業。今後も不可欠な産業としてこれらの問題に対応することが必要とされています。


情報元:https://edgexpo.com/fashion-industry-waste-statistics/

2019/08/19 原唯奈


 
 
 

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