大学生として考える、企業の持続性

 企業評価において、株主としての投資効率を示す自己資本利益率(ROE)に加え、ESGという指標が重視されています。
 社会・環境・企業統治の頭文字であるESGは、企業の持続性を表すスコアです。従来は企業の評価指標としてROEが一般的でしたが、産業による環境汚染問題などの深刻化から、社会に役立つ企業でなければ収益を保てないとの見方が広まりました。

 株式時価総額300憶ドル(約3.2兆円)以上、自己資本比率20%以上の263社を対象に、「ROESG」スコアを調べた結果では、上位30社のうち9割が欧米企業。日本企業は欧米の半分の水準です。
 
 これまでに調査業務で訪れた米国企業のホームページを思い返すと、確かに、社会貢献度の高さを示す項目が多かったように思います。


 上位にランクインした海外企業は、再生エネルギーの使用、発展途上国の子供達への支援など、社会と経済、環境への配慮や、サイバーセキュリティーを課題とする委員会の設置に取り組んでいるとのことでした。

 日本の企業として最も高スコアを獲得したのは花王。昨年7月に社長直轄のESG部門が立ち上げられ、トップには米国人のデイブ・マンツ氏が起用されました。ESGが売り上げや人材採用に直結するとして、廃棄物量などについての目標を含む、2030年までのESG長期戦略を国内外へ発信しています。
 同社のESG活動が目指しているのは、長期的な企業価値向上による「グローバルで存在感のある会社」の実現です。

 日本には、ESGに関して優良とされる企業が多くありません。また、ESG評価が高い企業ほど収益性が低くなるという調査結果も判明しています。この理由として挙げられているのは、日本企業のESG経営による効果が初期段階にあること、ESGの取り組みによるコスト、情報開示の不足の3点です。取り組みそのものの向上と、開示の強化が必要とされています。

 非財務情報の情報開示について日本と海外を比較調査したところ、その違いは明らかでした。海外の多くの国が、法律や証券取引所の規定により、報告書による情報開示を義務付けています。

 将来企業で働く身として、仕事が持つ意味を考えている日々です。生きていく術として、稼ぎを得ることはもちろんですが、自分の仕事が結局何に繋がっているのか、ということも考えて働けた方が望ましいと考えます。
 そして、変わっていく時代の中で、責任ある成長は、消費者の期待や市場のトレンド変化に対応できる唯一のモデル、とされており、財務に直接関わらない取り組みが、結局は収益に関わってくる、ということも分かってきました。

 変化の時代にある企業とサステナビリティに関する興味、大学生としての立場から、企業の持続性とその意味について考える機会となりました。

2019/08/13 原唯奈 

 
 

 
 

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