「オーガニック」「ナチュラル」というブランド

 日本では、ものを選ぶ時の基準として「オーガニック」とか「ナチュラル」というか単語がそれほど意識されていないと思います。少なくとも私の意識内では、「何かよく分からないけど普通のものより高級で良いもの」という印象でした。

 しかしアメリカに来ると、至る所でそれらを志向する人々の意識を感じることができます。今までいかなる注目を持っていなかった私でもです。

 オーガニック、ナチュラル、聞こえはいいですが、どうしてここまで人々を魅了しているのか私にはよくわからない。

 ということで、知っている人にとっては常識なのかもしれませんが、とっつきやすい、食品における二つの概念について調べてみました。
 まずはオーガニックについて。

 米農務省は、「オーガニック」を以下のように定義しています。
「オーガニックとは、認可された手法で生産された食品、あるいはその他農業製品のことを指す、表示用の用語である。その手法とは、資源の循環を育み、生態系のバランスを整え、生物多様性を保護することが可能な、文化、生物、機械を使用して行う農法を統合したものである。合成肥料や下水汚泥、放射線照射、遺伝子操作は使用しない。」


 簡単にいうと、「有毒なものを使用したり、余計な手を加えたりすることなく、自然のままに生産した食材」といえると思います。今まで何となくでしか理解できていませんでしたが、これを知ると、値段に見合う良いものであることが分かりました。


 次に、ナチュラルについて。
 オーガニックとナチュラルは、同じくらい価値のあるものであるように思えますが、「米農務省によると、「ナチュラル」に関する定義は、肉類に関してのみしかないそうです。
 肉類のパッケージに「ナチュラル」と表記するためには、「肉や肉類の生産に使用される家畜には、成長促進剤、抗生物質、哺乳類動物・鳥類・水生生物由来の飼料を与えてはならない。」という条件を満たす必要がある。肉類以外の食品に対する「ナチュラル」の定義や規制、認証はない。
 とのことでした。

 私が知らなかっただけかもしれませんが、肉類以外に関する「ナチュラル」という言葉は無意味だったという事実に驚いてしまいました。

 私のように知識がないと、何だかよく分からないブームに巻き込まれてしまうほど、人々の健康志向は商品の宣伝に利用されているということが分かりました。先日のCatConで多くの猫用食品に見かけた「Natural」の文字もそうだったのでしょうか。
 
 アメリカ人がどんな観点からものを選んでいるのかもっと知りたいと思い、
「ものを選ぶときにその商品にオーガニック、またはナチュラルの表記があるかチェックするか?」とMCICの方に聞いてみましたが、
「栄養素の表示をチェックすることの方が自分にとっては大事だからチェックしない」「そういう表記は、商品をよく見せる方法の一つであるだけだ」と仰っていました。

 ものの選び方について自分なりの判断基準を持っている方もいらっしゃいますが、そうでない人や、深く理解していない人は、その商品のもつ価値を考えるより先に、その商品がどんな言葉で飾り付けられているかということに注目して、ものを選んでしまう傾向があるのではないでしょうか。

 オーガニックやナチュラルの商品がブームになっているのは、その価値が認められているのが一番の理由だと思いますが、一種のブランド名のようになっているそれらへの注目を最大限利用しようとする考えが、消費者の選択をコントロールしているのも一つの要因だと思います。


 食と健康意識については、まだ知らないことが多くあるので、引き続き考えていきたいです。

2019/07/02 原唯奈 



 

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