MCICブログ15<アメリカのBtoC市場>

こんにちは。Seishiroです。今回は私がアメリカで1ヶ月過ごして感じたアメリカ人の消費者としての特徴を、日本の消費者の特徴と比較しながらお話したいと思います。
 
 1ヶ月アメリカに住むとなると、食料や日用品などを買うためにスーパーマーケットに行くことがあります。しかし、自分一人分のためにお菓子や飲料を買おうと思うとこれが中々大変であると気づきました。なにが大変かというと、商品がいちいち大容量である点です。量が多くても買えばいいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、賞味期限を考えると食べきることが不可能だったり、単純に持って帰るのが大変だったりするので手が出しにくいです。私はこの滞在中車を所有していないので、一度に大量に買うことができませんでした。
 しかしこのほとんどの商品が大容量である販売スタイルが、アメリカの市場に適しているのだと分かりました。その理由は地理的なものとそれに付随するアメリカ人の生活スタイルにあると思います。来る前にイメージしていたよりも遥かにアメリカは広く、文字通りどこに行くにも車が必要になります。私も実際に1ヶ月過ごしてアメリカが車社会であることを体感しました。そうなるとスーパーマーケットに来る顧客も車で来る人がほとんどになります。車であれば、かなり多くの量を購入しても簡単に運ぶことができます。またアメリカ人は日本人に比べて買い物の頻度が少ないといわれていまが、一回の買い物の物量を考えればそれも当然といえます。一度に多く買うことで買い物に費やす時間も減るので、合理的な生活スタイルであると思います。また1ダースや1カートンで売られている商品は1点あたりの単価が非常に安くなっています。大量生産によるコスト削減により安く売ることができる、まさに「規模の経済」がはたらいている市場です。
 
 反対に徒歩や自転車でも気軽にスーパーマーケットに行くことができる日本では、一回あたりの買い物での物量が少ないことにも納得がいきます。しかし、こうした日米間の消費習慣の違いには、もうひとつ理由があると私は考えます。それは消費者の「嗜好」です。
 
 私はこれまで多くの国を訪れてきましたが、日本人の食に対するこだわりは随一だと思います。特に東京では、様々な国の料理が本格的に楽しめるお店が多いです。家庭内においても、2,3日に1回の頻度で食材を買い、日ごとに違った献立を考える傾向があると思います。衣類に関しても、日米間では感覚が違います。日本人は普通の休日や大学に行く時でもオシャレを心掛けますが、アメリカ人は普段はカジュアルな服装の人が非常に多いです。(その代わりパーティーなどでは綺麗に着飾ります)そのためアパレルブランドにおいても、H&MFOREVER21などシンプルなデザインで安いブランドが人気を博しています。また、家電製品においてはこうした嗜好の違いが顕著に表れていると感じます。近年日本で新しく発売されている家電は、今までにない新機能を搭載した物が多いです。しかしこうした細かい機能を備えた家電製品はアメリカではあまり見られません。端的に言うとそうした機能はあまり需要がなく、シンプルながらも価格を抑えた家電の方が好まれるようです。
 もちろんすべての日本人、アメリカ人にこの嗜好が当てはまっているわけではありませんが、市場としての特徴として大方当てはまると思います。こうした状況を踏まえれば、日本のメーカーがアメリカに進出する際に苦労する要因が見えるかと思います。日本とアメリカでは製品を市場に投入する時の考え方の違いを考慮すると分かりやすいかと思います。アメリカでは大量に生産して市場に投入する「プロダクトアウト」のスタイル、日本では売れるものを生産する「マーケットイン」の考え方が強いと思います。なので、日本のメーカーの商品の品質の高さは確かですが、すべての消費者がそこに魅力を感じるわけではないと考えられます。こうした視点で市場を分析できれば、米国進出に有効な戦略をたてることができると考えます。

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