MCICブログ8<牛丼チェーンの海外進出>

 
こんにちは。Seishiroです。今回は日本の大手牛丼チェーン、「すき家」の米国進出についてお話したいと思います。

 

 昨年秋から冬ごろにかけての話ですが、牛丼チェーン「すき家」を経営するゼンショーホールディングス(以下ゼンショーHD)が、米国の持ち帰り専門のすし屋であるアドバンスド・フレッシュ・コンセプツ(以下AFC)を買収するというニュースがありました。このAFCは米国を中心にカナダやオーストラリアを含め約4000店舗を展開している会社で、ゼンショーHDはこのAFC25700万ドル(約288億円)で完全子会社にしました。

 

 ゼンショーHDはこれまで北米に店舗を持っていませんでしたが、AFCの買収が米国進出の大きな足掛かりになると思われます。なぜなら、AFCは米国内においてすしという日本食でビジネスを成功させてきたからです。国を問わずある国が別の国に対し食べ物を売るのは、味覚や嗜好の違いから難しいと思われます。しかしAFCは米国内で見事にすしビジネスを成功させました。AFCが持つノウハウは、ゼンショーHDも存分に活かすことができると思います。また、これまで「すき家」のゼンショーHDと述べてきましたが、この会社には「はま寿司」という顔もあります。回転すしという点でAFCと提供スタイルは異なりますが、すしの米国進出という点では参考にできる要素は非常に多いでしょう。

 AFCは持ち帰り専門のすし屋の店舗です。また、一部スーパーマーケットにも入っていますが、これも購入した場合にはもちろんテイクアウトになります。そのためAFCはいわゆる「中食」と定義されます。牛丼の話に戻りますが、「すき家」は店内でもテイクアウトでも購入が可能です。UBEReatsなどの宅配が流行っている米国において、中食という提供スタイルの面でもAFCのノウハウは強みとなりそうです。

 

 次に、「すき家」の競合である「吉野家」の米国展開について触れたいと思います。吉野家はなんと1973年に米国に進出しています。しかも、当初の進出理由は店舗の出店ではありませんでした。当時輸入量が限られていた牛肉を直接買い付けるためアメリカに来たが、翌年の1974年には輸入禁止となってしまいました。そしてその翌年の1975年に苦肉の策として店舗を出店したのが、吉野家の米国進出の始まりです。「Beef Bowl」という名前で売り出した吉野家ですが、これが非常に成功しました。顧客のほとんどが現地人である上に、平均で11000食ほど売れたそうです。さらに、1980年代にはダイエットブームにあやかりチキンを使った新たな主力メニューを生み出し、米国内で20店舗出店を達成しました。

 吉野家の海外進出は上手くいっているように感じられます。私自身も先日ハリウッドの近くの店舗を訪れたのですが、店内も賑わっていて食事も美味でした。まず、ファストフードというスタイルは米国でも受け入れられやすいのだと考えます。また、メニューの方は日本でも一番メインの牛丼を除き、他は日本にはないラインナップでした。そしてオーダー方法も、サイズを選び肉を選びお米の種類を選び添えられる野菜を選ぶという、米国のファストフードのようなスタイルでした。このように、メニューと提供方法が上手く現地化されている点が成功要因であると感じます。
 
     ※ロサンゼルスの吉野家のメニューです。こちらはレギュラーサイズで、Grilled beefとPotetosと普通の白いライスをチョイスしました。
 

 吉野家の例を考えると、ゼンショーHDの「すき家」も米国で売り出していけるのではないかと思います。しかし、吉野家や他の現地ファストフード店など、ファストフード店として出るならば競合も多くなります。なのでやはりゼンショーHDには、子会社にしたAFCとどう連携するかが重要になると思います。ゼンショーHDが「すき家」をどのようなスタイルで進出させていくのか、非常に興味深いです。

 
 お読みいただきありがとうございました。

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