情報に対する姿勢

※この記事はインターン生のKariyaが作成しています。


 突然ですが、「グーミン」という言葉をご存知でしょうか。これは、精神科医 内海聡先生による造語です。ネットや現実世界によくいる 口ばかりで行動しない人を愚民と呼び、皮肉を込めてそれをムーミンのように面白おかしくした愛称がグーミンです。彼らは、自分で考えない、調べない、決めない、その選択の責任を取らないなど他人への依存が強い存在です。内海先生が自身のブログで述べているグーミンの特徴の一部を紹介します。

・「じゃあどうするの」という言葉を使う(どこまでいっても質問して自分では行動しない)。問題に対して自分で何もせず、人にやってもらったり周りの環境を誰かが変えてくれるのを待つ。

・「でも」「しかし」「だって」という言葉を使う(現在の悪い状況をごまかすためにどこまでも逃げる)。問題に対して必ず否定+妥結という考えしか持てない。良いか悪いか未来のためか大きな目線があるかなどは無関係で、現状と楽さを維持し周囲に迎合し、自己正当化して現実問題から逃げる。

 まさに今の私を言い表しているようです。新しい環境に移った時や自分の欠点を指摘された時、これまでの自分を否定されたように感じ、つい守りに入ってしまいます。その際、上記のような態度になってしまうことが多いのです。また、これまで自分で考えるトレーニングをせず思考機能が停止しているため、周りの意見に正解を求めてしまいます。この姿勢を直し、責任を持って考える人間にならなければなりません。

 考えるためにはその材料となる情報が必要です。Nickiさんから「考える際に参照する情報の分母を大きくせよ」と教わりました。世の中に目を向ければ様々な記事やニュースがありますが、どれかが絶対的に正しい訳ではありません。少ない情報を基にして判断してしまうと、その少ない情報に偏りがあった場合、適切でない判断をしてしまう可能性が高くなります。また、情報には発信者の意見や私情が入ってしまうこともあり、方向性はバラバラです。集める情報一つ一つに偏りがあったとしても、情報や知識を様々なソースから多数情集めることによって、偏りのない選択が可能になります。例えば、一つのテーマについて、その本を3冊んで実行するよりも100冊読んで実行した方が効率の良い行動ができるでしょう。100冊も読めば、その中で共通項が見えてきます。それがその分野の法則であると推測することもできます。

 多くの情報を得たからといって、すぐに自分オリジナルの考えや妙案が思い浮かぶ訳ではありません。最初は他人の受け売りでも構わないから、とにかく知識をインプットし、周りの人に自分の言葉で話してみる。話していくうちに、それが自分の中に落ちてくる。その情報がこれまで蓄積してきた自分の思想や経験と混ざったり、人との会話の中で変化したりして、+αの知識やアイデアに昇華する。ここまで至って「自分の考え」と呼べるものができるのかもしれません。

 私はこれまで情報収集の大半を書籍に頼り、さらに自分に都合の良いものばかりを選択してきました。自分の世界を維持した方が革新よりも楽だからです。しかし、MCICの皆様のお話や社内の本棚から、これまで知りもしなかったジャンルの学問や事実があることに気づき、目を背けてきた現実を直視することになりました。
 現実問題について知る度に思い出してしまうのが以下の画像です。


Introspective picture about the importance of education and reading books
「教育と読書の重要性についての内省的絵」

 作られた美しい世界を見ている何も知らない人と、多くの情報を積み上げた果てに荒廃した世界を見てしまった人の絵です。果たしてどちらが幸せな人といえるのでしょうか。多くを知らない方が良かったのでしょうか。私は、どちらにせよ本人が「自分は幸せだ」と思う限りそれが絶対的な幸福なのだと思います。
 右側の人がこの段階で見ている世界もまた一つの状態に過ぎない可能性があります。さらに多くの本を足元に積み上げた時、あと数メートル上にまた別の風景パネルを見ることになるかもしれません。ひとつの「本当の世界」などはなく、各個人が持つ「自分の関心が及ぶ範囲内の世界」の集まりが現実なのではないかと思います。だとすれば、様々な世界の在りようを知っている方が知覚できる情報も増え、多くの選択肢を持つことができます。知りたくない世界を見るのは辛い部分もありますが、現実問題にまつわる情報も直視し、認知世界の拡張を図るべきだと思います。

 また、自分の考えを持つには、外側からインプットする情報だけでなく、自分の内側の思想や過去の経験も種類豊富にする必要があります。「でも」「だって」と言い訳せず、教わったことを素直に実行することによって、凝り固まった過去の自分の思考を変化させていくことが可能です。

 内海先生は「グーミンであるかないかは知識とは無関係です。それを抜け出す基本は発想であり行動であり責任を持つことです。グーミンをやめるのは一秒で出来ます。」と説きます。問題に対して「じゃあどうするの」ではなく「それを解決するために自分はどう行動すべきかを考えよう。そのための情報を集めよう。」という反応がすぐさまできる人間、社会や国々に良い影響を残せる行動を選択する一市民になるべく、日々成長してまりたいと思います。



   

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